【管理者は知っておきたい】地震発生!→エレベーター復旧にかかる所要時間の実際は?(実例紹介)

いつ起こるか分からない地震。特に高層エレベーターが停止していると、利用者に露骨に嫌な顔をされます。そういう機能ですし、地震は予見できないし、復旧には時間がかかるものです。

復旧する側としては急かされるし、階段で登るのは大変だし、給料は変わらないし(笑)、正直しんどい!

とは言え10階建の建物なんかだと、ゴミ出しするのも一苦労です。朝動いてなかったのはいいが、お昼になってもまだ動いていないなんて、どうなっているんだ!と思うこともあると思います。

エレベーター会社に連絡を入れたものの、未だに復旧がされてない!住人からのクレームがしんどく思っている管理者さんに向けて、実例を踏まえた復旧の目安を紹介したいと思います。

1台あたりの地震復旧時間

現場毎に違うので、まちまちではありますが、大体30分で復旧します。

作業の流れとしては、まずピットを覗き、昇降路を一巡し、異常がなければ地震管制運転を解除します。

一見すぐに終わりそうではありますが、高層ビルではそうもいきません。30階、40階もある高層ビルでは、昇降路を一巡するのに20、30分もかかり、点検運転用のリモコンを操作する指がしんどいくらい長いです。

加えてこういった建物は複数台設置されている事がほとんどなので、さらに時間がかかります。

とはいえ6台あったら、6台ずつ昇降路を流すのではなく、3台並びが2列ある作りであれば、真ん中のエレベーターの上に乗って3台いっぺんに確認します。

この場合昇降路の一巡に20分として、2回分で40分です。

この時間は最短の時間で、エレベーターが1階で停止していた場合です。1階で停止していてくれれば、すぐにエレベーター上に乗り込む事ができますが、上階で停止していた場合は階段で登ります。

そこから上から下へ昇降路内の点検し、終わりましたら地震管制モードを解除するため、機械室へ向かいます。機械室は屋上にある事が多いため、再度最上階まで戻る事になります・・

30階の建物の場合、プラス40分でしょうか。合計で60分になります。

ただし、階段がエレベーターのすぐ近くにある作りであれば、2、3階登る度に乗り場を開けて確認しながら上がれるので、プラス時間は10分程でほんとケースバイケースです。

ちなみに高層ビルの裏方エレベーターは、階段が遠回りな事が多いです。

また、5階建のエレベーターであれば10分から15分で復旧でき、地震復旧にかかる時間は10分から60分の間という事になります。

到着までの目安時間

これもケーバイケースで、震度、時間帯、平日か休日かで、変わります。

また地震復旧には優先順位がありまして、優先度としては

  1. 病院施設
  2. 駅ビルなどの公共施設
  3. 高層ビル
  4. 一般のビル、マンション

となっております。ここでは4.の一般のビル、マンションについてお話したいと思います。

震度2

ほぼ停止はないと思います。事務所からの距離にもよりますが所要時間は30分から60分程度です。エレベーター信号監視を契約していないところですと、停止している事にエレベーター会社側で気がつかない場合がありますので、停止したままであればご一報をお願いします。

停止している場合は初期微動を感知しての停止がほとんどだと思います。初期微動とは本震が来る前の余震的なもので、P波と呼ばれます。

P波の後にS波(本震)がくるのですが、P波を検知する事で本震が来る前にエレベーター停止させるという機能が付いています。P波を検知した場合、一旦は停止しますが、その後S波(本震)を検知しなければ1分後に自動復旧します。

こちらサイドとしても、あぁ大丈夫なやつだなと安心します。あまり現場に確認しに行く事はありません。

 

同じ震度2でも揺れやすい建物・揺れにくい建物がありまして、私はとりあえず揺れやすい建物を見に行って、そこが動いていれば他は大丈夫でしょう!と判断材料にしています。

震度3

平日であれば30分から2時間程で到着できる事が多いですが、休日の場合は待機者と、休日点検指定のエレベーターを点検している点検員しかいません。さらに夜間の場合は待機者1名で対応してます。深夜ですと応援を呼ぶのも微妙な時間で、大体は1人で復旧にあたります。所要時間は1時間から5時間程度です。

待機している日にあたると、5時間休みなしで動く事になるので大変ではありますが、エレベーターに被害が出ることはまずなく、以外と気楽だったりします。自転車での移動なので気分は軽いサイクリングです。

 

たまに地震で止まっているかと思ったら、普通に故障しているという事もありますが・・

軽いサイクリング気分で来ているのでショックをうけます(笑)

震度4

このへんからしんどい奴です。平日の日中であっても1時間から5時間はかかります。担当エリア毎に手分けして復旧にあたりますが、どういう巡回ルートで回るか?要求が厳しいお客様はどこか?出来るだけクレームが発生しないよう、気をつかう部分があります。

休日の場合応援を呼ぶ事がありますが、上手く応援者が集まらない場合や、応援者の都合がついても事務所到着までに1、2時間かかります。

正直休日に自分の予定をキャンセルして出社するのって、ちょっと悩む部分でもあるんですよね・・。

家族での買い物中に来たときは2時間後に行けますと答えてますが、義実家か絡む集まりや、遊園地なんかに行っている時は5時間後と答えてます。

その間にだれか出てくれ!と願いながら(笑)

 

加えて深夜である終電後の時間ですと、タクシーに乗っての出社ではなく、始発で応援に向かう事が多いです。

深夜0時だった場合、応援者に始発で来てもらい、復旧が完了するのは午前10時頃になると思います。

休日・夜間中での地震復旧時間は長い場合で10時間となります。

震度5

自分も一度しか経験がありません。3.11地震の日です。復旧には3日かかったと記憶してます。

3.11の発生当初エレベーターの上に乗って作業してたのですが、最初は眩暈かな?って感じでぐわんぐわん揺れ、それが直ぐにガッタンガッタン!と大きく揺れ出し、直ぐにエレベーター上から逃げました。

無事建物からも脱出し事務所へ一報を入れましたが、今度は電話が全然つながらない・・・。

まずは安全確保で待機なのか、復旧優先なのか、復旧ならどこへ行けばいいのかさっぱり分からず途方に暮れてました。

仕方がないので事務所に戻ると、事務所もパニック(笑)

とりあえず各従業員に復旧リストを作り、それを元に復旧しますがやっぱり電話がつながらないので終わり次第事務所へ戻りの繰り返し・・・。

復旧の目途がついてきたなぁと思ったら余震でリセット!

とりあえず帰れないんだな、ということを悟りました。

復旧しても復旧しても終わりが見えず、人によっては48時間勤務をこなしてました。(1、2日目の対応者と、1、3日目の対応者で分けてた)

疲労もすごかったですが、自転車に乗りすぎてお尻が痛い方が勝ってました。

電波少年のスワンボートを思い出します(笑)

阪神・淡路大震災

エレベーターがどうこう言っているレベルではないので、例外ではありますが一部を紹介したいと思います。

まだ私が入社する前の出来事なので、先輩から聞いた話です。

エレベーター機械室の床が抜け、機器が丸ごと落っこちていた。

点検員が1人、2人いたところでどうにもならないですね・・。結末までは聞いてませんが、おそらく建物ごと建て替えになったのではと予想します。

 

 

カウンターウェイトが散乱し、エレベーター天井を突き破った

エレベーターはつるべ式の構造をしています。バケツ式の井戸と言ったらいいでしょうか。

バケツが人が乗るエレベーターだとして、その反対側に重りがついています。この重りがカウンターウェイトと呼ばれるもので、枠の中にかまぼこ板状の鉄板が収められています。(1枚2、30kg)

地震の影響で枠からウェイトが飛び出し、エレベーターの天井を突き破ったそうですが、幸いにも怪我人はなかったそうです。人が乗ってなくてよかった・・!

ちなみに法改正で、このウェイトが飛び出さないよう、構造が改められています。

まとめ

復旧時間のまとめです。

  • 震度2 停止しない・自動復旧する
  • 震度35時間
  • 震度4 10時間
  • 震度5 3日

震度4、震度5は私の記憶を掘り起こしてのもので、2、2時間の前後があるかもしれません。また、他にトラブルが重なっていない条件での解説となりますので、必ずその時間までに対応できるという保証もありません。

あくまで目安として参考にしていただけると幸いです。

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